未翻訳小説を頑張って日々読んでいる日記

未翻訳小説を頑張って日々読んでいる日記

まだ翻訳されていない英米文学をたまに紹介します。

2023-01-01から1年間の記事一覧

20世紀の独ソの中で揺れ動く人々を正確に採譜した重奏曲(Europe Central by William T. Vollmann)

いわゆる「ポストモダン文学」に興味がある人なら、ウィリアム・T・ヴォルマン(William T. Vollmann)という名前は聞いたことがあるだろう。90年代以降のアメリカを代表する作家の一人で、ピンチョンのように長大で難解な作品を書く人物……というイメージを…

ハワイの日系二世作家が描く、対立した文化と社会(All I Asking For Is My Body by Milton Murayama)

実は私はかなりのボクシングファンなのだが、それを知っている編集者の友人が面白いことを教えてくれた。ハワイの日系二世作家が書いた作品に、貧困から抜け出すためにボクシングを始めるという描写があるという。さらに、著者の意向で邦訳NGとなっているそ…