未翻訳小説を頑張って日々読んでいる日記

未翻訳小説を頑張って日々読んでいる日記

まだ翻訳されていない英米文学をたまに紹介します。

2019-01-01から1年間の記事一覧

Infinite Jestまとめその0(まえがき)

Infinite Jest とは? 今、私が頑張って少しずつ読んでいるのが1996年に出版されたDavid Foster Wallace(デイヴィッド・フォスター・ウォレス)の『Infinite Jest(インフィニット・ジェスト:直訳すると「無限の戯れ」)』だ。現代アメリカ文学で金字塔的…

There There by Tommy Orange

『There There』というタイトルは、ガートルード・スタインの『Everybody’s Autobiography』の中の一節に由来する。ガートルード・スタインはこの小説の舞台でもあるカリフォルニア州オークランドで育ったのだが、街として大きく発展したオークランドからは…

Sing, Unburied, Sing by Jasmyn Ward

「これがぼくの見たものだ。水面を通り過ぎると、陸地がある。緑に覆われ丘が連なり、木々が濃く生い茂り、川が何本も裂くように流れている。川は逆方向に流れ、海で始まり陸で終わる。大気は朝焼けと夕焼けで、永久に黄金桃のような色をたたえる」 「そこに…

Improvement by Joan Silber

2017年の全米批評家協会賞と2018年のペン・フォークナー賞の受賞作。単語は易しめで227頁と、かなり読みやすい部類ではないかと思う。 Joan Silber(ジョーン・シルヴァー? ジョアナ・ジルヴァー?)は1980年にデビュー作を発表、これまでに今作を含めて長…

Shadowbahn by Steve Erickson

未翻訳のアメリカ文学を紹介する書肆侃侃房の連載にて、藤井光がエルヴィス・プレスリーを扱う「2018年」の二つの小説について紹介している。 第12回 “America” feat. Elvis Presley, 2018 Remix(藤井光)|書肆侃侃房|note その中で、デニス・ジョンソン…

The Friend By Sigrid Nunez(シークリット・ヌーネス)

アメリカにも日本と同じようにいろいろな文学賞があるが、主なものをあげると全米図書賞、全米批評家賞、ピューリッツァー賞の三つだ。これらは、新人もベテランも短編も長編も関係なく、同列に選考される。 そして2018年の全米図書賞のフィクション部門…